Episode.03

街に溶ける、上質な感触。

朝の空気は澄んで、陽が傾くと街の輪郭がやわらぐ。

そんな季節に寄り添うのは、身体の内側から落ち着きを連れてくる、やさしい素材の服。
主張はひかえめに、でも確かな心地よさで、日々の風景にすっと溶け込む。


風の抜ける街角、ガラス越しの午後、静かな帰り道。

どの瞬間にも不意に馴染むのは、過度な装飾ではなく、素直な素材感だ。

シルエットはゆるやかに、レイヤードしやすく。

肩は落としすぎず、袖口と裾は手元の所作を美しく見せる幅に整える。

気温の揺らぎに合わせて、ニットの上にも、シャツの上にも。

装いが変わっても、輪郭は静かに保つ。

私たちは、必要な人に必要な分だけをつくる。一点ずつ丁寧に仕立てる受注生産は、無駄な在庫を生まず、着る人にとってのベストな一着へ近づくためのプロセスでもある。